2007.10.31

想定内と予想外

ホリエモンの「想定内」、ソフトバンクの「予想外」が流行語になっているようです。いずれもボクの耳に不愉快な言葉ですが、これにからんだことを書こうと思います。

犯罪捜査で「現場再現」というテクニックがあって、これで大方のことはわかると思われているようです。ボクは、別に犯罪者になったことはありませんが、ぜったいにそんな「○○○ゴッコ」みたいなもので、なにかが明らかになることはないぞ、と思っています。

買ったばかりのPCやカメラの不良・欠陥が見つかった時に、翌朝お店のシャッターが上がるのももどかしく、初期不良のクレームに行くボクなのですが、さて、お店に入って、問題の不良・欠陥が再現できないという「予想外」の事態に陥ることがあります。その時の悔しさ、なにかボクが根拠のないイチャモンを付けに来ているのかという店員の冷たい目が、ボクの涙の向こうに揺れているのです。

「一期一会」という人生の真理があります。「千載一遇のとき」という言葉もあります。もっとむずかしいのでは、「塞翁が馬」というのもあります。

いずれも、あることがあるのは、その一瞬だけであって、それを「想定内」とか「予想外」とかの言葉でまとめようとする人間の愚かさを教えてくれているように思います。

写真では、「シャッターチャンス」「決定的瞬間」ということがあります。逃したときにそれを「悔やんだり」、他人がそれをとらまえたときに自分も真似したり、自分がとらまえたときに、次回また再現しようと試みる、すべては、虚しいのです。ブレッソンの、キャパの、植田正治の、あの決定的瞬間は、永遠にあれしかないのです。

IMG_0216-8_20080202083655.jpg
Venezia, Italy (2006), Canon EOS-Kiss DN, 28-135mm 1:3.5-5.6 IS

2006年の冬、ベネチアの雨に濡れた路地裏に、タバコを手にしたシェフが画面左端からこちらを見て、までは「想定内」でしたが、向こうを人が横切って、路上にハトが舞い降りて、までは「予想外」で、しかもこんなに「ブレて写る」のも「予想外」でした。でも、ボクにとっては今回のベネチア旅行一番の収穫であったと思っていますし、次回同じ場所に行っても、「そこには、ただ風が吹いているだけ・・・♪」と思います。

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*Comment

この写真は、教授の作品の中で、とても好きな一枚です。
全ての絶妙な予想外・・・偶然が重なったとしても、
教授の「写真を撮る!」という必然な無ければ
この作品は生まれなかったでしょう。

何度拝見しても、すばらしい!・・・「偶然の必然」

フォトジェニック のレス、恐縮です。そして、照れます^^;
Yoshi-A |  2007.10.31(水) 23:48 |  URL |  【コメント編集】

Yoshi-Aさん
ありがとうございます。ところで、このブレというかボケがなかったら、というような想定で、すうだと・・・などという遊びに、ふと、真夜中目覚めてPCに灯を入れて、写真のこと考えているNKです。
NK |  2007.11.01(木) 03:31 |  URL |  【コメント編集】

ピンぼけ、ブレも時には写真に、より高い表現力を与えることがあるように思います。
ただ意識的にそれをすると見え見えの単なる失敗写真になることが多いでしょうね。
要するに撮る人の被写体に対面する気持ちは素直であったほうが結果はいいということでしょうか。
貴重な一枚ですね。
Scottts |  2007.11.01(木) 03:54 |  URL |  【コメント編集】

Scotttsさん、
おはようございます。そちらは夜でしょうか?
出来上がりをきちんと計算し、想定してからでないと、なかなかシャッターを下ろせない、ケチな習慣が身にしみている私には、こういうショットはなかなか撮れないのです。
秀抜な美の表現で模範とするScotttsさんからのお褒めのお言葉だけに、とりわけてうれしく思います。ありがとう!
NK |  2007.11.01(木) 05:03 |  URL |  【コメント編集】

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